デザイン事務所のグラフィックデザイナーってどんな仕事?リアルを暴露しておく

世にたくさんいるであろう、結構メジャーなお仕事、デザイン事務所のグラフィックデザイナーですが、大体の人がこの仕事を誤解するので正直な現状とか私生活を思い切って暴露しようと思います。

医者とか、弁護士とか、検察とかなら散々ドラマになってますし、最近は薬剤師なんかも取り上げられて羨ましい限り。

なんかね、「グラフィックデザイナーって何してんの?いつも忙しそうだよね?ずっと絵とか描いてんの?」

・・・って言われたりするんですよ。全然違う〜。

たまーにドラマとかで「デザイナー」とか出てきますがあれも全然違う〜。

どうしてもデザイナーって名前はキラキラしたイメージが先行して、視聴者のイメージに合わせる感じでキラキラを描いてしまうのかな?

・・・パリって素敵なんでしょ?って思われがちだが実はそうでもないって感じと似ている!

というわけで、今日は私がどんな生活をしていたのか、恥ずかしながら書こうと思います〜!

職業選びしている学生さんや、転職を考えている方はぜひ知っておいて!

 

デザイン事務所のグラフィックデザイナーのリアル

会社によってもちろん違うところは多いんですが、共通点は「徹夜多い」「経営者腐ってる」ってところですかね。中小企業ほどひどい経営者多いですよね。きっと全てではないでしょうが、今までいたところは大体そうでした。

大体のデザイン事務所は出勤が11時前後です!私が最初に働いたエディトリアル(ファッション雑誌など)デザイン事務所は、朝まで仕事がある代わりに午後1時とか2時に出社してもokでした。業界全体、仕事が深夜型です。

私が5年ほと勤めたデザイン事務所はというと、9時!!9時出勤です!!最悪です。深夜または朝まで仕事するのに、朝満員電車に乗るんですよ?まじで最悪です。

 

デザイン作業開始

出社したら、受け持っている何個もの仕事のうち締め切りがやばいものから作業を始めます。撮影が終わった何百もの写真を選んで、切り抜いて、合成して、一つの仕事につきデザイン案を6案とか10案とか作ります。

鉛筆でデザイン案を描いていると思われがちですが違います。もう完成形のデザインを10案前後作るんです。ものすごい時間と手間がかかります。イメージと合う写真やフォントを探して(それだけでかなりの時間がかかる)、「やっぱ違う」を繰り返して(何百と試す)、さらに写真を綺麗に合成して行くことが必要です。装飾ケイとか背景の柄なんかも手書きしたり作ったりします(しかもそのデザイン案が採用されるとは全然限らない)

適当なラフや鉛筆画でクライアントに見せればいいのに、今の時代、リアルに作り込まないと納得しないらしい。

仕事はほとんどパソコンに向かって静かに淡々と進める作業です。ドラマにしたらセリフ0ですね笑

 

撮影

週に一度くらい、撮影が入ります。自分がやりたいデザインに合わせて、商品やモチーフ(フルーツとか)を用意しなくてはなりません。スケジュールを押さえるのもモチーフの買い出しも片付けも全部デザイナーの仕事です(徹夜するほと忙しいのに雑用もやらされる)

大体5時間から丸一日かけて撮影します。結構な技術がいる作業なのに何も教えられずやらされることがほとんどです。私は土日を潰して自腹で練習していました。

外部のカメラマンやフードコーディネーターが入れば見守るだけでいいんですけど、そういう機会はほとんどありませんでした(会社によっては100%外部なので楽かもしれません)

 

12時から13時が昼休みです。会社によっては、自由な時間に食べに行っていいというところもあります。

都内に会社があるとはいえ、外に食べに行くということは滅多にありません!!とにかく疲れすぎているので、食事したら残り15分くらいデザイナーはみんなデスクに突っ伏して寝ています。

食事は同期や後輩なんかと食べていましたがこれが本当疲れる。同期は愚痴を聞いてくれるので助かるしお互いアドバイスもできて最高なんですが、後輩がたくさん加わってきたあたりでもう限界になってしまい、デスクで一人で食べる日が多くなりました。とにかく心に余裕がないんです。

さらに、私はしょっちゅうご飯抜きで働いていました。お昼ご飯食べると眠くなりません?食べなきゃいいんですよ!!!

前にクライアントの大手企業の方に、「デザイナーさんすごいですよね〜眠くならないコツってあるんですかあ〜?」って聞かれたことありましたけど、食べてないの〜^ ^それくらい仕事に一生懸命取り組んでるんです〜だからちゃんと報酬支払って!あと無駄な修正上げて来ないで

 

午後

ディレクターが各自クライアントへプレゼンに行ったり、打ち合わせに行ったりして、クライアントからの反応や修正箇所を持ち帰ってきます。というわけでデザイナーは社内打ち合わせに時間を取られます。一回の打ち合わせ15分くらい。仕事は常に6〜10個くらい持っていますので、何本も打合せが入ります。その度に、「明日までね」「5日後プレゼンだから」などなどスケジュールが重なって行くので、死にます。

 

夜休み

はい、昼休みではなく夜休みです。定時退社時間は18時なのに、18時から19時に休み時間があります。謎です。働かせる気満々ですね。

この時間にカップ麺食べたりお弁当食べたり、夕食を取ります。私は1時間まるまる寝る時もありました。

他の会社では、夕食は自由に空いた時間にとっていいという決まりでした。ある意味、デスクで突っ伏して寝るなんてできませんね。休み時間なんて無いようなものです。

 

打ち合わせも少なくなって、社内が静かになるので集中力が一番高まるゴールデンタイムになることが多いです。しかしながらあっという間に夜になるので、作業は当然終わりません!徹夜決定!みたいな悲しい決断もしなくてはいけない時間になります。諦めず終電ギリギリまで超集中して仕事します。

エディトリアルデザイン事務所だと、入稿が朝8時ということもあって、夜は確実に帰れません。編集部からの写真やデータが夜10時ごろ届くのでそこから電話がかかりっぱなしになってずっと朝まで作業することになります〜。

 

終電

大抵帰りは終電、または徹夜になります。徹夜の場合、朝一旦家に帰る人もいなくは無いですが、少数派です。つまり、デスクでそのまま朝になり、9時になり、そのまま次の日の業務が始まるわけです。

 

深夜

同じく徹夜となった仲間たちと、一緒にコンビニへ行きます。

 

朝方

床にダンボールや寝袋敷いて寝る。。。という話は聞いたことがありますが私のいた会社ではいませんでした。床が埃っぽくて死にます。朝5時とか6時になったら机に突っ伏して寝ます。仮眠程度しかできません。足がパンパンに浮腫みます。

お風呂?入りません!私は真夏に6日間お風呂に入らなかった記録があります。

家が近い人は朝シャワーだけ浴びに帰宅したり、ごくたまに銭湯に行く人もいました。私は漫画喫茶を利用していました。それもあまりに忙しい時は行く気力も時間もないんですけどね。

よく徹夜する上司と話していたのは「徹夜を極めると、辛いのは空腹でも無いし疲れでも無いし寝不足でも無い。風呂に入れないこと」と言っていました。ほんとこれ。

 

ぐったりした状態で9時の出勤時間がやってきます。しっかりお風呂に入って寝たであろう人たちに「だらしない」みたいな目線で見られることもありますがもうどうでも良い。

 

腹がたつこと

いっぱいありすぎて書ききれません〜

でもまず、デザイナーがかなり下働き的な扱いをされているということ。社内の清掃も進んでやらされますし。

法律的に、残業代を払わなくてもいいという謎システムになっているため(ほんと許せん)デザイナーが定額使い放題状態で、よく無いスペックのパソコンを使わされたり、明らかに終わらないような仕事をどっさり押し付けられて、終わらないとデザイナーの実力不足にされます。

例えば、大企業さんの企画書を作るっていう謎仕事があるんですが、凝ったもので、誰が作っても24時間ほどかかるんですよ。それを簡単にできるでしょ?早くしてって感じで大量に仕事を取ってくる上に、一枚につき報酬5000円ですよ。24時間かかる仕事を5000円て気狂いですけど、デザイナーに徹夜させればコストかかりませんからね。

社内のディレクターでさえ、「簡単にできるでしょ?」って感じで修正依頼したり無駄な仕事を増やしたりします。そんなだから、当然クライアントも「簡単にできるんですね」って感じになって、高度な仕事に安い値がつく。無駄な回り道作業をさせられる。

 

泣きながらやってる

クライアントの方は「簡単にスッとできるんでしょう?デザイナーだし」と思っているんでしょうが、よく泣いているデザイナーがいます。みんな泣きながらやっているんです。待遇はあまりにひどいし、デザイナーを下働きのように扱っているから、ひどい言葉をかけられることも多いです。最悪ですね。

 

経営者が腐っている

どうやらお金はがっぽり持っていっていますが、とにかく無能な経営者。業務の改善案ゼロ。パソコンは古いものを使わせ続けるから効率が上がらない。デザイナーから改善案が上がってきても逃げる言い訳ばかりで無視(これ1社目も2社目もそうでした)経営とは????とにかく現場の「頑張り」という力仕事で賄っています。まさにブラック。

 

サボる奴がいる

サボる先輩がたくさんいます〜。まあどんな会社にもいますよね。わざとなのか本気でセンスがないのか、社内コンペでひどすぎるデザインを上げてきます。当然選ばれることなんてないから仕事は増えない。だからだいたい定時で帰れます。別にそんな人を否定もしないし、いてもいいと思っています。でもさ、何で給料私たちより多くもらおうとするのかね?自分でも実力不足、努力不足を自覚しているくせに、給料は人より多くないと文句を言う。しかも経営者無能ですから。給料はこの人たちを越せません。

 

社内恋愛多い

ドラマでは社内でドキドキの恋愛なんかが描かれることが多いですが、実際多いですね、社内恋愛。なんせ生活の9割が仕事みたいな状態ですし。

個人的には、社内恋愛大っ嫌い。本当最悪です。私たちマスコミ系の企業は、偉いポジションのほとんどが男性ですが、付き合っている女性がいれば当然思いっきり贔屓してしまいます。自分の彼女や奥さんが最高だと思いたいんですよね。デザインの評価って数字ではあらわしにくいですし、上司の采配次第でオイシイ仕事が回ってくるかどうか決まります。仕事を真面目にするより媚びた方がよっぽど仕事がうまく回るので、一部の女性は上司に媚びるだけで努力しない、なんて人もいました。「わかりませええん」って言えばok。実力がなくても大丈夫なんです。本当最悪です。

 

やっていてよかったと思うこと

一応、メリットも書いておこうと思います。腹の立つことが多すぎて書くのも腹が立ちますが。

チームに家族感がある

デザインチームに強い結束が生まれ、チーム内の誰かがコンペを取ったりするとみんな最高に嬉しいしみんなでお祝いしたり。反対に自分が失敗しても味方になってくれるし一緒に悲しんでくれます。家族よりも長い時間一緒にいるのでそういう絆が生まれます。そういうの最高に嬉しいです。

商品の売り上げがいいと最高!

手がけた商品の売り上げは数字で出るので、「過去最高の売り上げです!!」なんて言われると最高に幸せ、やっていてよかったー!!自分天才!世界一すごい!と思える瞬間です笑。

独立できる

ダメダメな会社には本当にイライラしますが、会社をやめても転職が容易ですし、独立して会社を立ち上げたり、フリーランスで一人で仕事をしたり、パートナーと二人で会社を作るなんてこともできて自由自在。今は外国に住んでいても何とか仕事ができます。

 

ドラマや漫画にしてほしい!

なんかこの、泣きながら辛い作業しているし毎日が地味。しんどいって感じが伝わるドラマや漫画、作ってもらえませんかね笑。現実は華やかな恋愛なんてないし面白くないと思うんですけど。仕事が理解されないのもしんどいんですよねー。デザイナーというと生意気だと思われるのか、叩かれたりしますし。私は漫画も描けないんですよね。誰かぁ〜笑

 

近いと思った漫画

今まで読んだデザイナー漫画で一番「リアル」と思ったのがこれ

午前3時の無法地帯、という漫画です。確か漫画家さんは元グラフィックデザイナーだったと思ったのですが、このデスク!デスクの見た目というか並んでいるアイテムがあまりにリアル!!自分のデスクかと思いました!初めて読んだ時そこに笑っちゃいました!

ストーリー自体は。。。漫画では恋愛が出てきますがそんなのないですからね。でも何となく雰囲気は近いものを感じました。

 

まとめ

感情のまま憎しみのまま筆をとってしまいました。読んだ人に伝わったか不安です。すみません。

デザイナーは技術職なので、独立したり、一度職場を離れても再就職が容易というのは大きなメリットですね。事務職のようなことをやっていて、「会社クビになったら困る」としがみついている人を見ると、技術職で本当よかったと思えます。

学生さんや、これからデザイナーを目指そうとしている社会人の方にはきつい現実ですよね。

ダメダメなデザイン事務所には、技術とノウハウだけ盗んで独立する気概が持てるといいですよ。グラフィックデザイナーはかなり潰しのきく職業ですので、そういった意味では大変おすすめです。

職業選びやドラマ作成の参考にしてください〜笑

それではまた〜!

EL(エル)

日本でデザイナー7年→フランス住→帰国して1年のフリーランスデザイナーです。ブラック労働やうつ病も経験し、その頃はどん底でした。その後海外に行くことを決意。実行しました。特技はフランス語ですが、英語が全然できないポンコツです。こんど住むならロンドンがいいなと思っています。

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