デザイナーがクラウドワークスに挑戦。がっかりして辞めた話
私はフリーランスのグラフィックデザイナーなのですが、数年前、クラウドワークスにチャレンジし、いくつか仕事をして、結局辞めてしまいました。
働き方が自由になってきた今、在宅でクラウドワークスなどのサービスで仕事を受注したら、生活ができるのでは?と思っている人は多いのではないでしょうか?
私が見切りをつけた理由は、クラウドワークスの仕事にちょっとがっかりしてしまったからなんですが、その理由をお話ししたいと思います。
どんなお仕事をしたか
まず、当時私がクラウドワークスでどんな仕事をしたかお話ししたいと思います。
私はパッケージデザイン会社に勤めていたので、パッケージデザインのコンペに応募しました。そしてすんなり仕事を獲得しました。地方のお菓子屋さんのパッケージでした。
その後もいくつかパッケージに関係する仕事を獲得したり、途中で落ちてしまったりしました。仕事の多くは地方のお菓子屋さんですね。各依頼それぞれ報酬は7万円前後でした。
結局3、4この仕事で、つまらない・苦痛を感じると行った状態になったので辞めてしまいました。
仕事の獲得は簡単かも?
人によると思いますが、クラウドワークスで自分の専門分野の仕事を獲得するのはそんなに難しくない….気がします。
なぜかというと、他のコンペ応募者のデザインを見た限り、応募者は学生か、デザインに1、2年しか関わっていないのかな?と思えるクオリティのものがほとんどだからです。もしあなたが5年以上必死に極めた専門技術を持っているのなら、最初に仕事を取るまでに時間はかからないかもしれません。今まで社内で熾烈なコンペを戦ってきたなら、最初にいくつか落ちたとしてもコツを掴めば軌道にのると思います。
なぜ辞めたのか
報酬が安い
クラウドワークスの仕事は、相場の1/3〜1/6くらいの報酬なのかなと思います。私が受けた7万円という報酬は経費や日数を考慮してもやはり安いです。
「フリーランスは会社と違う、信用度も違うし、経費だって違うのだからフリーが安いのなんて当たり前でしょう?」…と思う人もいるかもしれませんね。でも依頼者が真摯でないのが伝わるんですよ。「安くやってもらえればいいや〜」という気持ちが、報酬とやり取りで感じられるんです。報酬自体よりそれが結構がっかりします。
生活できるかというと、たくさんの依頼をこなせばまあ多少貧乏でも生活はできると思います。走り出しはきついです。コンペで何度も勝って、仕事を獲得して、仕事数をこなすとサイト内の信用度が上がって、個人に仕事が依頼されるようになります。かなり頑張れば、会社員以上の報酬を得ることもあると思います。
本当にこれでいいの?と思える依頼者側のモチベーション
こちらが心血注いで仕事に打ち込む気持ちがあっても、依頼者側に「いいものを作ろう!」という気概がない場合、どうにもできません。
多分依頼者側は、「依頼すればうまくやってくれるんでしょ〜?」と思っているかもしれないのですが、デザインって、デザインデータだけ良くてもダメなんですよね。その後の色校正、インクの選び方、裏面の文字の入れ方、そもそもサイズや梱包は本当にそれでいいの?ということを全部詰めてやり切らなくては絶対にいいものができません。
…..というのをこちらはわかっているんですけど、クラウドワークスの仕事は基本的に、デザインデータを入稿するまでが契約で、その後の印刷などは依頼者側にお任せとなってしまいます。
真面目に仕事をすればするほど、辛いかもしれません。私は会社員時代、全ての仕事に魂削って完璧なものを仕上げるというやり方だったので(それはそれで問題も多いし褒められることじゃないんですが)依頼者側のモチベーションが自分とまるで釣り合っていないな、と感じるたびに辛くなってしまいました。
報酬に見合う、割り切った仕事のやり方が必要になる
制作へのこだわりを捨てて簡略化したものを出さなくてはなりません。中途半端・完璧ではない仕事です。
デザインデータを上げるまでがクラウドワークスでの仕事だと先ほど説明しましたね。印刷や色校正などはしません。デザインデータ以上に踏み込んだ提案をしたこともありましたが、割りに合わなさすぎますし、そもそも依頼者側が求めていないというか、ちょっと面倒そうなので意味がないかもと思いやめました。
安いぶんの、割り切った仕事をしないといけません。デザインにプライドを持っている人ほど辛い決断になると思います。
社会全体の効率を悪くする「コンペ形式」の多用
コンペ形式ってあるじゃないですか。何人ものデザイナーにアイディアを出してもらって選び取る方法です。依頼者側からすると、たくさんの案から選べてワクワクするし、自分で気に入ったものを選べるから間違いないと思ってしまうのではないでしょうか。
しかしあの形式こそ、社会全体にワーキングプア状態の人を増やし、生産効率を下げてしまう、時代の波に逆行した仕組みなのですよね。
10人が一生懸命ベストを尽くした仕事をしても、報酬を得られるのは1人です。残り9人は無報酬です。そういう結果になるから、コンペの仕事は全力を出す意味があまりありません。たくさんの無報酬労働者を生み出す上に、実は個人に依頼された仕事よりも一つ一つのクオリティが下がります。とても効率が悪くないですか?
クラウドワークスやランサーズなどのサービスは、「新しい働き方」と言われたりしますが、その実とても非効率な働き方が多いのです。報酬の少なさも含めて、新しい「ハケン労働者」になりそうな気がします。
一見、うまく利用すれば楽しく効率よく働けそうに見えますが、未来の貧乏人を増やす気がしてなりません。
クラウドソーシング労働者の未来
ここまで話したように、クラウドワークスなどの労働者にはあまりいい未来が期待できないように思えてしまいます(個人の感想)実際、すでに同じようなクラウドソーシングサービスが出てきて、一部の業界では価格崩壊が起き始めていると感じます。労働賃金の安売り状態です。
特にグラフィックデザイン・イラストなどは危ない気がします。
そんなわけで、私はクラウドワークスの仕事に見切りをつけてしまいました。
この経験が誰かの参考になりましたら幸いです。
それでは
クラウドワークスについて検索していてたどり着きました。
私も何度かデザインのコンペに出したりしたことがありましたが、見切りをつけた1人です。一案件に数十件の申込があり、採用されるのは1人というシステムは効率が悪い。一生懸命考えて提案しても、アイデアだけ持っていかれて採用されなければ、やる意味がありません。また、数撃ちゃ当たるという考え方になると、当然デザインの質も落ちると思います。
建築設計などもコンペはあるようですが、採用されたときの報酬はケタが違いますし、コンペでも最低1人数万円の謝礼は支払うようです。発注側にも制作側にも良いシステムにならないかぎり将来性が無いと思います。
gamaさんコメントありがとうございます
本当にそうですよね!!
コンペに出してしまう私達労働者の、権利意識も低かったんだうなとは思うんですが…クライアント側の、労働に対するリスペクトが無い。こういうやり取りの結果、クライアントは「これくらい簡単にできるでしょ?」という認識になって、仕事の際滅茶苦茶な要求を無料で求めて来たりする。
バブルの頃はグラフィックデザイン業界でもコンペには参加だけで1万円~の報酬が支払われたと聞きました。でもその頃と、労働の大変さは変わらないですよね。コンペでも仕事でも安く請け負わない事は業界にとって本当に重要です。
ELさん
こちらの記事を読んで心が救われました。
発信してくださりありがとうございます。
mizueさん、嬉しい感想本当〜にありがとうございます!ちょっと記事を書く仕事に自信がなくなっていたんです。勇気をいただけました。これからも誰かの力になれる記事を書いていけたらいいなと思います。