インハウスデザイナーか?デザイン事務所か?それが問題だ
「自分はインハウスデザイナーを目指した方が良いのか?それともデザイン事務所を目指した方が良いのか?」
悩んでる学生さんは少なくないでしょう。
また、
ひょっとしたら一度デザイナーとして就職したけれど「自分に合った仕事はひょっとしたら違うのではないか?」そんな風に転職を考えて始めている方もいるでしょう。
インハウスからデザイン事務所への転職。
デザイン事務所からインハウスデザイナーへの転職。
両方のケースの転職を日々目にします。
もしも、インハウスとデザイン事務所で迷った時どちらを選べば良いのでしょうか?
今日は迷った時に考える為のキーワードについてお話ししようと思います。
あくまで1人の現役デザイナーの意見となりますが、キャリア選択の参考になれれば幸いです。
実はインハウスか?デザイン事務所か?で迷うのは余り意味がない!?
20代のデザイナーさんはインハウスか?デザイン事務所か?と悩むことがあるのですが、実はこの2つで比較するのはあまり意味がないのです。
インハウスにも様々な会社がありますし、デザイン事務所にも色々な会社があります。
そこで、「自分に合った働く場所はどこなのだろう?」と悩んだ時は下記3つのバランスを考えてみてはいかがでしょうか?
デザインの仕事には3つのパターン
一言に「デザイン」といってもその役割には大きく3つのパターンがあります。
それは、
①成長の為のデザインか?
②維持運営の為のデザインか?
③戦略の為のデザインか?
この3つです。
デザイナーさん一人一人それぞれ得意不得意があるので、自分の得意をいかせる職場を選択したいですね。それぞれどんな役割なのか簡単に説明します。
①成長の為のデザイン
スタートアップ、新商品や新サービスの開発(またそれに関わる広告)などに多くみられるデザイン業務です。
0から1を生み出したり、1から急成長させようとするステージに関わるデザイン業務です。
新しいチャレンジにはある程度失敗はつきものなので、初めからある程度の失敗リスクを考慮されているプロジェクトなので「攻め」のデザインにチャレンジできる事が多いです。
デザイナーとしてやりがいのある仕事ですが、短時間で沢山のデザインの幅を出したり、新しいデザインツールを使用したりなど最先端のデザイン開発を常にキャッチアップするバイタリティーが必要です。
②維持運営の為のデザイン
シリーズもののデザイン、季節ものデザイン、マイナーチェンジデザインなど。
これは世の中に最も多いデザインのお仕事です。
企業にとっての主力商品に関わるデザインが多く、時代や季節、ユーザーのマインドセットの変化に合わせてデザインをリファインする仕事などと思ってください。
すでにある程度の購買層の趣味趣向を把握しているケースも多いです。収益がキープできているのであれば「守り」のデザインを採用されるケースも多いでしょう。
企業の方針にもよりますが、インハウスでは8割〜9割かた維持運営の為のデザインになる傾向があるかと思います。またデザイン制作会社でも長年付き合いがある企業からの依頼は維持運営の為のデザインが多いです。
数年間この維持運営のデザインだけに関わると若いデザイナーさんの中には「物足りなさ」を感じはじめる人も少なくないでしょう。ですが、お仕事としては収益が見込め安定しているデザインビジネスです。
③戦略の為のデザイン
有名デザイナー事務所、アートディレクター、社内デザイン部の管理職など。
ブランディングやマーケティング、組織運営プロセスを含みます。
ロジカルな説明でキーパーソンを説得するだけの実績と経験が必要なので、新人デザイナーとしてこの様な仕事をさせてもらえる会社は少ないかもしれません。
デザインを生業とするうえで、最も収益性が高いのでキャリアアップをしていきたいと考えているのなら、如何にして「戦略の為のデザインに関われるのか?」を意識しながら働くことが重要だと思います。本質を考えること、プレゼンテーション、人を説得するのが好きな方であれば、スタイリングとしてのデザインだけでは満足できなくなる日が来るでしょう。また、デザイン感度の低い職場でのインハウスデザイナーやデザイン事務所では、この戦略のためのデザインは学べないリスクがありそうです。
まとめ;自分にあった①②③の割合を考えよう!
自分にあった働き方ができそうな就職先や転職先を探す際には、その会社では上記①②③の仕事がどれくらいの割合であるのか?調べてみるのも良いかもしれません。
①の割合が多い職場では心身ともにタフさを求められますし、②の守りのデザイン100%の職場では、将来的に厳しものがありそうです。③のお仕事に若いうちから携わりたいのであれば、どんなに待遇が良くても大企業のインハウスデザイナー では難しいかもしれません。
初めての就職の際には、自分にあった職場や仕事など分からないことがほとんどですが、デザイナーとして長く楽しく働こうと思うならこの①②③の割合を自分でコントロールするスキル(転職スキルや独立、処世術)はすごく大切だと思います。