実は『日本のデザイナー』は世界で一番恵まれてる!?
「日本は世界で一番デザイナーになりやすい国である!」
きっとこう言っても過言ではないでしょう。
『一番』と断定してしまうのは少し強気すぎるかもしれませんが、他の国と比べて明らかに「デザイナーになり易い」国であることは、まず間違いありません。
「最近の若いモノは海外志向が無くてやる気が感じられない」
「韓国人(中国)デザイナーの方が日本人より海外に出ている」
「海外のデザイナーってなんか凄そう」
こんなイメージが少なからず日本のデザイン業界にはあると思います。実は、これも日本のデザイナーが恵まれた環境にいるのが原因の1つです。
今日は日本のデザイン業界と、海外(特に欧米)のデザイン業界の違いについてのお話。将来『海外』を考えている若手デザイナーさんの参考になれば幸いです。
日本は世界で一番デザインの仕事が多い?
『デザインが一番進んでいる』とよく言われるヨーロッパやアメリカ。
実際に移住したり、長期出張で現地に住んでみると分かるのですが、日本と比べるとデザインの仕事はもの凄く少ないです。デザイナーになるのも容易ではありません。
◾︎欧米の商品パッケージデザインは殆ど変わりません。
対して日本では四季に応じてデザインを変えます。リニューアルも多いですね。
◾︎街中の看板、広告、CMの量はもの凄く少ないです。
欧州では町の景観を大切にするので、奇抜な広告も避けられます。
◾︎ブランドや伝統を大切にする文化がある。
日本では突然ガラッとデザインを変更する商品が多いですが、欧州では伝統を重んじるので、デザインの変更範囲も日本と比べて少ない傾向があります。
◾︎欧州でデザイナーになろうと思ったら、3〜4ヶ国語喋れる必要がある。
自国だけではなく、隣国の仕事をする為にも語学力を要求されます。実際にデザインの仕事が少ないので、母国から出て働いているデザイナーさんは凄く多いですね。
◾︎アメリカでは、デザインの仕事は多いですが世界中から優秀なデザイナーが集まるので、競争がメチャクチャ激しいです。
◾︎欧米の人は案外『お洒落では無い』です。
服装や消耗品のデザインは余り気にしない文化です(上流階級の人々は除く)
◾︎日本人は世界でもトップレベルに『飽き性』で『新しいもの好き』な国民性を持っています。日本人はコンテンツや商品の消費スピードが異常に早いので、大量のデザイン業務が存在します。
上記の様な理由から『日本はデザイン業務の受注』が容易な国ですね。単価の高い仕事から低い仕事まで、大量の仕事があるのでデザイナーの数も人口比で比較すると大分多いでしょう。
また最近は景気が良く無いと言われますが、それでも自国の仕事で充分食べていけるデザイナーさんが殆どなので、他の国と比べれば十分に『恵まれた環境』と言えそうです。
特に日本の20代デザイナーは恵まれている?
30〜40代にもなると、デザイナーは実力次第の世界なので、働いている国に関係なく、仕事に恵まれている人もいれば、残念ながら仕事に恵まれない人も出てきてしまいます。。。こればかりは仕方無いのかもしれませんね。
しかし、20代に限って言えば『デザインの経験を積む』事が一番大切な年代なので、デザイン業務が豊富に揃っている日本の環境はもの凄く恵まれているというのが現実です。まぁ、給料の多い少ないはありますが(汗
「新卒でデザイナーとして就職出来る」
「入社後、先輩が丁寧にデザインを教えてくれる」
こんな環境が揃っている国は殆どありません。
欧米では新卒で会社に入れるデザイナーは少ないので、学校を卒業してすぐにフリーランスになる人が多いです。また、欧米は個人主義でもあるので、先輩が丁寧に仕事を教えてくれる環境も日本と比べればもの凄く少ないでしょう。
日本で経験を積んで海外に行く選択も良し!
日本は十分デザイナーにとって恵まれた環境ですが、いくつか問題もあります。
◾︎仕事が多すぎて長時間労働になりがち
◾︎デザインがコロコロ変わるので『消耗品』の様に感じてしまう
◾︎給料やデザイン単価の上限はある程度決まってしまう
◾︎今後は日本だけで仕事が貰えるとは限らない
などなど。
『完璧な環境』はどこにもあり得ないので、致し方ありませんね。きっと、日本でデザイナーとして働いていると、少なからず不満や不安を感じる事もあるでしょう。
「海外でデザイナーとして働いてみたいなぁ」
そんな風考えが頭によぎったら『日本でデザイナーの経験を積んで実力をつけた後、海外で新たな挑戦をする!』のは、日本の恵まれた環境を活かした有望なキャリア選択の1つだと思います。ひょっとしたら『海外のデザイン学校』を卒業して現地でデザイナーになるよりも難易度が低いかもしれませんね。
『日本のデザイナー(特に若手)』は日本の今いる環境に満足する事なく、海外に一度出てみては如何でしょうか?
確かに恵まれた日本でデザインの仕事をしている方が楽かもしれませんが、異なる文化の中でデザインをする事もデザイナーとして成長する為に必要でしょう。