デザイナーが絵(イラスト)を描いてみた
久しぶりに、アナログイラストを描いてみました。
デザイナーは自分のイラストを仕事に取り入れることもあります。私も自分のイラストがパッケージに印刷されて全国に売られています。
今回描いたのは学生時代に習った技法の応用で、写真を元にした半リアルイラストです。
リアルだけど、リアルすぎず手描き感を残した描き方です。
道具や描き方を簡単にご説明します。
完成はこちら
インド人のおじいちゃんです笑。
なぜこのモチーフを選んだのかというと、シワがある人の方が描きごたえがありそうだと思ったからです。アジア系だろうが白人系だろうがよかったのですが、結果この肌色のおじいちゃんを選んで色も塗りごたえがあって楽しかったです。
元写真は著作権フリーの写真サイトから選ばせていただきました。
「イラスト描きました〜」と言うと、大抵美少女か美青年のイラストを期待されるので、真逆をいってみた感じですね笑。
4日ほどかけて描きました。
私はイラストってあまり得意じゃないし、デザインの方が好きなので、絵を描いている間は苦悩することが多かったです。
描き方
1 まずは描きたいモデル写真を用意します。
私は著作権フリーの写真サイトから「老人」ワードで検索しました。
- 顔アップなど、難易度が高くないモチーフ
- ヒゲが生えていたり服にシワがよっていたりして描きごたえがあるもの
- カラー(白黒ではない)
これらをポイントに選びました。
モデル写真はこちら
2 モデル写真を白黒コピーします。
モデル写真をコンビニなどで白黒コピーします。この時、キャンバスに合わせて大きさも調整します。
3 白黒コピーの裏側を鉛筆で満遍なく黒塗りする。
2Bくらいの濃さが最適です。硬すぎると転写できませんが、4Bを越えると転写後の線が汚くなってしまいます。
ちょっと面倒な工程です。手が疲れる….
4 キャンバスに転写します。
先ほどの紙をキャンバスにテープで固定して、上からボールペンでなぞります。
結構細かいところまでなぞります。特に明度が違う部分はブロック状に囲って分けておきます。明度に合わせて番号をふることもあります。
転写後がこちら。
転写するときのボールペンは赤だとなぞったところがわかりやすくていいです。あと油性だといいですね。水性だと弾いてしまうことがあります。
キャンバスは水彩画用で!!これは重要です。
5 デッサンします。
転写した線を元にデッサンしていきます。
一般的なデッサンよりも線は柔らかめでいいです。濃さは4B、2B、HBで。鉛筆の使い分けはほとんどいりません。あとで着彩したときあまり意味がなくなります。
6 試し塗りしたいならコピーをとっておく
私は色塗りに自信がなかったので、デッサンをコンビニコピーしておきました。
コピーに一度色を塗って試すためです。
また、このコピーを本番にする場合もあります。鉛筆の上に着彩する場合よりはっきりと線が残るので、手書き感のある面白い絵になります。ただ紙がぺらっぺらなので絵の具で紙がふやけます。
コピーは設定で「濃いめ」にした方がいいです。
7 試し塗り
ここまで頑張っても色塗りで失敗すれば取り返しがつきません。
私は試し塗りしました。
8 キャンバスに着彩
ついにキャンバスに着彩です。ここまでですでに3日かかりました。
試し塗りを飛ばすならここまでは1日や2日で済むと思います。
着彩途中がこちら
水彩絵の具とアクリル絵の具の2種類を使いました。
水彩絵の具だけでもいいんですが、今回のモチーフは色が全体に濃く、特に黒部分はアクリル絵の具をべったり重く塗らないと再現できませんでした。
黒以外は水多めで、鉛筆の線を生かしながら塗るのがいいです。
やったことがある人ならわかると思うんですが、色って一度塗ったところは抜けませんので、頬の部分など明るい部分に塗り残しを作るのが大切です。
また、色が混ざりすぎるとどんどん濁っていきます。鮮やかな色を出したい場合はなるべく合う色の絵の具を見つけて原色のまま使うことをお勧めします。
着彩ほぼ完成がこちら
9 部分的に色鉛筆で色を重ねる
モチーフによっては絵の具で完成させると透明感が出ていいのですが、このようなシワの多いモチーフなら色鉛筆を重ねて仕上げます。
鉛筆デッサンを色鉛筆でもう一度重ねる感じで。線で描くイメージです。
顔部分は色鉛筆が乗ったことによってシワ感、毛穴感が出てとてもリアルになりました。
オレンジのストール部分にも黒の色鉛筆で影をなぞり、柔らかい布目の感じを出しました。
10 完成
左がモチーフ写真、右がイラストです。
これで完成です〜!
こってりとした色のおじいちゃんになりました!
ヒゲを描くのが楽しかったな。白で描くのではく、黒を書いて白を残すという方法にしました。
今回使った道具
並べてみました。
昔買った道具なので今は違うパッケージになっていると思いますが、これです!
↑アクリルガッシュとは違います。アクリルガッシュの方が透明度が低いので、今回の絵には向かないかな?と思います。
↑絵の具に水を加えるとき必須です
↑プラスチックのキャンバスにアクリル絵の具を乗せてしまうと傷みます。使い捨てパレット(紙パレット)を用意してください。
感想
鉛筆デッサンは楽しかったですが着彩は慣れていないので大変でした〜
イラスト描きの中でもかなりマイナーなモチーフで、これ描きたいって人はなかなかいないと思いますが、雑誌のモデルやスポーツ選手を描いても素敵に仕上がりますよ!
このイラストの技法(ちょっと自分のアレンジを加えてますが)を教えてくださった先生は、ゴルフ紙の表紙などを手がけるプロのイラストレーターさんです。
次回はスティーブ・ジョブズかマイケルジョーダンを描いて、額に入れて家に飾りたいです。彼らに見つめられたら仕事も頑張れそうでしょ?笑